三体シリーズ3部作(三体、黒暗森林、死神永生)は、ここ最近の読書で一番面白いと思った作品でした。
第1部『三体』は今振り返ると前振りでしかないのに、最初から異次元の面白さですぐにハマりました。
第2部『黒暗森林』はいよいよ地球文明vs三体文明の対決が本格化して、さらに面白くなって、結末も綺麗で、もうこれ以上はないのでは?と思うくらい完璧だったと思います。
第3部『死神永生』ではさらなる高みが待っていて、ピリオドの向こう側にぶっ飛ばされました。
第1部『三体』の時点でロケットスタートを切ったかと思いきや、第2部、第3部でもさらに桁違いのロケットが待っていて、もうこの衝撃を表現できる言葉が思いつかないです。
ただ発想やスケールがぶっ飛んでいるだけじゃなく、作品に込められた想いにも共感できて、衝撃と感動が両立しているところが本当に良かったです(後述しますが、個人的にはSFの枠を超えて神話に分類したいくらいです)
三体シリーズを読了した今、作者がエッセイで書いた次の言葉の意味がよくわかるような気がします。
わたしが〈三体〉であらゆる可能性の中から最悪の宇宙を書いたのは、われわれが最良の地球を求めて努力できると願うからである。
この記事では、三体シリーズの概要、あらすじから、私の感想(英語の難易度と物語の内容)、読解時の注意点、作者の劉慈欣さんが作品に込めた願い、さらには英語版の良さや英語版/中国語版/日本語版の違いなどまで、幅広いトピックを扱っていきます。
三体シリーズを読了している人とは感動や感想を共有できたら、これから読む人にとってはこの記事が読むきっかけになれれば、うれしいです。
この記事を書いた人
日本生まれ日本育ちの日本人。外資系歴10年以上、TOEICは対策なしで915(2019年)。英語学習や外資系での経験を、発信・共有しています(詳細プロフィールはこちら▶︎)。
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失敗しない英語学習法:基礎・独学・オンライン英会話・コーチング・アプリ x TOEIC
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三体シリーズとは?
中国のSF作家 劉慈欣さんによる小説
三体は中国のSF作家劉慈欣さんによる全3部作(『三体』『黒暗森林』『死神永生』)のシリーズ小説です。
本国中国では「地球往事3部作」とも呼ばれていて、中国語で「往事」とは、過ぎ去った過去のこと、という意味になります。
作品を一言に要約すると「宇宙人襲来もの」で、「読者の想像を遥かに超えてくるぶっ飛んだ発想」「時間も空間も宇宙スケールで展開する壮大さ」「詩的な文体・表現による美しさ」などが特徴的な作品だと思います。
中国では2008年~2010年にかけて出版され、英語版は2014年~2016年、日本語版は2019年~2021年にかけて出版されました。
中国発世界的ベストセラー(ヒューゴー賞・Netfixでのドラマ化も)
三体シリーズは中国発の世界的ベストセラーSF小説として世界に衝撃を与えています。
2022年8月時点で、約20ヶ国語に翻訳され、世界で約3000万部の売り上げ。中国および世界の数々のSF賞に多数ノミネート、受賞し、その中には世界最高のSF賞であるヒューゴー賞をアジア人として初めて受賞するという快挙も含まれています。
あのNetflixも黙っておらずドラマ化も決定。三体シリーズの壮大な世界観をどう映像化してくれるのか、今から楽しみです!
マーク・ザッカーバーグさんやバラック・オバマさんなども絶賛
Meta(元Facebook)のCEOマーク・ザッカーバーグさんや、元アメリカ大統領バラック・オバマさんなども三体シリーズのファンであることを公言しており、そのことが世界的大ヒットの後押しになったと言われています。
特にオバマさんは、三体第3部(死神永生 Death’s End)の発売が待ちきれず、作者の劉慈欣さんにメールをするもスパムメールと思われて無視され、最終的には大統領の権力を使って出版前の原稿を入手してまで読んだようです。
三体シリーズのあらすじ
第1部 三体 The Three-Body Problem のあらすじ
1967年、中国、時は文化大革命。葉文潔(Ye Wenjie)は父の葉哲泰(Ye Zhetai)が紅衛兵に公開処刑されるのを目撃する。父の罪は科学的態度を取り下げなかったこと。この事件が葉文潔(Ye Wenjie)と人類の運命を変えることになる。
40年後、奇妙なことにエリート科学者たちの自殺が相次いでいた。北京警察はナノテクエンジニアの汪淼(Wang Miao)に、国際的科学者たちによる秘密結社、科学フロンティア(the Frontiers of Science)に潜入するよう依頼する。
汪淼(Wang Miao)は調査の過程で奇妙なオンラインVRゲーム、3body.netにはまる。このゲームでは太陽が3つあり、惑星の運命は3つの太陽との相互作用に依存する。
実はこのゲームは科学者たちの自殺と関係があり、さらには地球外文明からの侵略、つまり地球存亡の危機とも関連していた。
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第2部 黒暗森林 The Dark Forest のあらすじ
この宇宙は無数の肉食動物が生息している森林のようなもの。他者の存在は自身の生存への脅威で、自文明の居場所を明らかにすることは他文明に餌のありかをさらすこと。地球文明はその存在を明かしてしまい、三体文明に狙われることとなる。
三体文明の艦隊群は過酷な環境の故郷を捨て、地球を目指して旅立った。三体文明は極小のAI智子(Sophon)を遠隔操作することで地球の科学の発展を妨害するとともに、全人類のコミュニケーションを傍受、地球の動きは筒抜け。しかし智子(Sophon)は、人間個人の頭の中で何が考えられているかは分からない。
そこで地球文明は4人の面壁者(Wallfacer)を任命。地球の予算をほぼ自由に使える絶対的な権限を移譲された各人が、自分の頭の中だけで秘密の対策を考える。これに対し、三体文明はそれぞれに対応した破壁者(Wallbreaker)を当てがい、地球文明の企みを暴こうとする。
三体人の戦艦が地球に到達するまでは約400年。直接対決の前に、頭脳戦が始まった。
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第3部 死神永生 Death’s End のあらすじ
終末決戦(Doomsday Battle)から半世紀後、黒暗森林理論の抑止力によって、地球文明は三体文明と難しいバランスを保ちながら共存していた。地球文明は三体文明から科学技術を、三体文明は地球文明から文化芸術から学び、両文明は繁栄していく。地球文明はかつてないほどの黄金時代を謳歌し、相互破滅の脅迫無しに、三体文明と平和的に共存できる日がやがて訪れるかに思われた。しかしそれは地球文明の自己満足でしかなかった。
三体第3部『死神永生』の主人公は階梯計画(Staircase Project)の中心人物、程心(Cheng Xin)。この計画は人類のスパイを三体文明に送り込むというものだったが、三体文明に到達するためには光の速さの1%で移動する必要があり、そのためには人間の体は重すぎる。そこで、末期患者で安楽死した人の脳だけを宇宙に送り出すこととなった(三体文明ほど科学技術が進歩していれば、脳だけ送っておけば後は三体人がなんとかしてくれるだろう)。
第2部の主人公の逻辑(Luo Ji)は、第3部でも重要な役割を担う。三体文明が地球文明を裏切った場合、太陽系の座標を全宇宙に発信し、お互いを滅亡させるためのスイッチを管理する執剣者(Swordholder)に任命される。しかし逻辑(Luo Ji)も100歳を超え、さらには時代が女性的になったこともあり、この大役は程心(Cheng Xin)に引き継がれる。しかし母性本能が強く愛を軸に判断する程心(Cheng Xin)の存在が、この2文明の繊細なバランス関係を揺るがすことになる。
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三体シリーズの感想
英語の難易度の感想
第1部 三体 The Three-Body Problem
私が思っていたよりずっと読みやすかったです。ジャンルはSFだし、噂では宇宙とか物理の話も出てくるらしいし、きっと難しいんだろうな・・・と勝手にハードルを上げていたのですが、
三体の評判があまりにも良いので、思い切って読んでみると、意外とスラスラ読めました。
と言っても、難易度を初級、中級、上級で分類すれば、上級になるのは間違いないと思います。でも、上級の中の上級というような、ちょっとこれは難しすぎるわ、とても太刀打ちできん、というレベルではないので、変に警戒してしまうのはもったいないと思います。
宇宙や物理の話は、わかる人にとってはより面白いんでしょうけど、私のように知識がなく軽く流す程度の読み方でも、三体シリーズの壮大な物語を十分に楽しめたのでご安心ください。
三体シリーズは全世界で約3000万部売れていて、そのうち全員が宇宙や物理の知識を持っているとは考えにくく、このことは、私のような一般読者でも十分に楽しめることを支持する一つの事実だと思います。
また、私は三体英語版を読みながら、ケン・リュウさんの英訳がとても読みやすいなと感じました。その感覚を支持する情報がWikipediaにあったので、ここに引用しておきます。
「中国人読者をして『原作より読みやすい』と言わしめた名訳」
「ケン・リュウの英訳が原文に忠実でありながら非常に明解でわかりやすかった(by日本語版翻訳者 大森望さん)」
「中国文学が外国語に翻訳されると何かが失われやすいものですが、『三体』では、むしろ得ていると思います(by作者 劉慈欣さん)」
第2部 黒暗森林 The Dark Forest
三体第1部の英語版は読みやすかったですが、正直、第2部の英訳は私に合いませんでした。考えられる理由は、第1部と第2部で翻訳者が違うこと。
三体3部作の英訳は、第1部と第3部をケン・リュウさんが、第2部をJoel Martinsenさんが担当しています。あくまで私の感覚ですが、第2部では知らない単語が比較的多く、読書のスピードが落ちました(Kindleのワンタッチ辞書に何度も助けられました)。
翻訳は原文の内容に依存するので、一概に批判はできないですが、同じことを言うのにわざわざその単語を使う?他の単語でも良かったんじゃない?と思うことも正直多かったです。
第1部を読み一度乗った船を今更降りるわけにもいかず、何とか気合いで読み切りました(笑)英訳への不満に耐えれたのは、内容がおもしろかったからです。
第3部 死神永生 Death’s End
第3部の翻訳は再び第1部のケン・リュウさんに戻ったので、比較的読みやすかったです。しかし、第3部は第1部よりも宇宙や物理の話が多くなるので、その点では第1部よりも第3部の方が難しさを感じました。
私の感覚で難易度の優しい順に並べると 第1部 > 第3部 > 第2部 でした。
英語版を読み切るコツは、まず第1部を楽しんで三体のファンになってしまうこと、その次に宇宙や物理の難しい話をあまり気にしないことだと思います。
内容の感想
私は読書は時空を超えれる旅だと思っていて、それゆえに読書が好きなのですが、この三体シリーズはまさにそんな作品でした。
20世紀の中国に始まり、時間は約2000万年後、空間は太陽系(直径数光年)の286光年先の惑星、さらには精神と時の部屋的なミニ宇宙で100億年経過して宇宙の終わりまで。リアルでは絶対にできない旅。読書の醍醐味を味わえる作品だったと思います。
また、この宇宙の時空が壮大すぎて、人間はちっぽけな存在だなぁとも思いました。各部の主人公クラスのキャラ〔葉文潔(Ye Wenjie)、Wang Miao(汪淼)、逻辑(Luo Ji)、程心(Cheng Xin)〕でさえ、宇宙目線で見ると存在していなかったのと同じなのでは?と思えるくらいで、特に逻辑(Luo Ji)は好きなキャラで愛着を感じていたので、その影響力の小ささに少し切なくなりました。
とは言え、個人的にはもともと宇宙目線は持っていたつもりで、(良い意味で)いろいろどうでもいい=世間の常識とか他人にどう思われるとかどうでもいい(法律とマナーを守った上でですが)と思っているので、その思いを再確認する機会にもなりました。宇宙目線で見たら私なんか塵of塵みたいなものなので、引き続き自分の好きなように楽しく生きていきたいと思いました。
その他、各部の感想をここに書くと長くなってしまうので、個別記事を用意しました。ここでは見出しだけ列挙しましたので、もしよかったらそちらもご覧になってみてください。
第1部 三体 The Three-Body Problem
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洋書:三体 第1部 英語版The Three-Body Problemの感想・あらすじ・登場人物などを整理
この記事は上記の総括記事を補うための個別記事です。 三体シリーズはここ最近で一番はまった小説なのですが、ストーリーが壮大で、読んでいる途中で迷子になってしまうこともあったので、いったん情報を整理したく ...
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- ミステリー要素が面白い
- 大胆な発想も面白い
- 史強(Shi Qiang)が魅力的
第2部 黒暗森林 The Dark Forest
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洋書:三体 第2部『黒暗森林』英語版The Dark Forestの感想・あらすじ・登場人物などを整理
この記事は上記の総括記事を補うための個別記事です。 三体シリーズはここ最近で一番はまった小説なのですが、ストーリーが壮大で、読んでいる途中で迷子になってしまうこともあったので、いったん情報を整理したく ...
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- いよいよ三体文明との対決開始
- 三体文明強すぎ!地球の絶望感がヤバかった
- 最後はLoveの話で綺麗に着地
第3部 死神永生 Death’s End
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洋書:三体 第3部『死神永生』英語版Death’s Endの感想・あらすじ・登場人物などを整理
この記事は上記の総括記事を補うための個別記事です。 三体シリーズはここ最近で一番はまった小説なのですが、ストーリーが壮大で、読んでいる途中で迷子になってしまうこともあったので、いったん情報を整理したく ...
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- 宇宙は地球に置き換えれる
- 時代と共に価値観は変わる
- 程心(Cheng Xin)にイライラしつつも、感動もした
三体シリーズを読むときの注意点
三体シリーズを読むにあたり『折りたたみ北京』に収録されている下記の2つが参考になると思います。
- 劉慈欣さんのエッセイ『ありとあらゆる可能性の中で最悪の宇宙と最良の地球』
- 三体翻訳者ケン・リュウさんの序文『中国の夢』
劉慈欣さんはカナダ人作家による「(三体が最悪の宇宙を書いているのは)中国と中国の人々の歴史的経験のせいだ」という指摘を否定しています。
ケン・リュウさんは「中国の作家たちは、地球について、たんに中国だけではなく人類人体について、言葉を発しており(略)」と書いています。
このことから、例えば、地球文明が三体文明に侵略される様を西洋や日本に侵略される中国に重ねることは、自己中心的で真実からはズレた読み方になってしまうことがわかります。
また、私たち日本人読者にとっては、三体文明のスーパーAIである智子(Sophon、着物、茶道、刀などから明らかに日本をモデルにしている)が地球人を酷く扱うシーンに、日本と中国の歴史を重ねている?と疑いたくなるかもしれませんが、
作者の劉慈欣さんはとあるインタビューで、智子(中国語で知能+粒子の意味)という名前がたまたま日本の女性の名前みたいだったので、日本をモデルにしたキャラクターにしただけと言っています。
これらのことから、私たち読者は余計な詮索をしないように注意する必要があると思います。
三体シリーズに著者の劉慈欣さんが込めた願いとは?
エッセイ『ありとあらゆる可能性の中で最悪の宇宙と最良の地球』
再び『折りたたみ北京』です。この中に収録されているエッセイ『ありとあらゆる可能性の中で最悪の宇宙と最良の地球』で、劉慈欣さんは次のように書いています。
わたしが〈三体〉であらゆる可能性の中から最悪の宇宙を書いたのは、われわれが最良の地球を求めて努力できると願うからである。
つまり、三体がやったこととは、
ありとあらゆる可能性の中で最悪の宇宙を書く→地球存続の為にありとあらゆる可能性の中で最良の地球が必要になる→それを書くことで人類に一つの道を示す
ということなのだと私は考えています。
カズオ・イシグロさんがクローン人間や人工知能を書くことで人間を探索していたように、劉慈欣さんは絶望を書くことで希望を探索しているのだと思いました。本当の目的を達成するために、逆側からアプローチするというのは、ある種の文学あるあるですね。
▼クローン人間が登場するカズオ・イシグロさんの代表作
三体第3部のタイトル『死神永生』と英題『Death’s End』の謎
作者の願いを読み解くにあたり、第3部『死神永生』のタイトルと、英語版のタイトル『Death’s End』が有力なヒントになっていると思います。
ネタバレ防止で抽象化すると、宇宙に存在する無数の文明が利己的に振る舞うと、宇宙が壊れて全員道連れで絶滅、二度とやり直せない = 死神永生。未来のことを考えて利他的に行動できれば、宇宙は死ななくなる = Death’s End。宇宙は地球に、各文明は各個人に置き換えれる。
同じ事象を絶望目線で表現したのが『死神永生』、希望目線で表現したのが『Death’s End』。
中国語原題には注意喚起の意図が、英題には願いが込められている、と私は推測しています。英題は翻訳者の案でしょうか?作者もOKしてるのでしょうけど、あえて直訳を避けた理由が知りたいですね。
この宇宙にthe chosen oneはいなくて、誰か1人の責任で宇宙の運命が決まる訳ではないけど、無数の1人1人が少しずつ小さな責任を負っている、自分の小さな担当分をちゃんとしようね、そうできる人類であってほしい、っていうのが作者のメッセージ、願いなのだと思いました。
三体の中国語版、英語版、日本語版の違い:劉慈欣さんは英語版を推薦
本来の物語は、文化大革命のシーンから始まり、英語版と日本語版はそうなっているのですが、本国中国では都合がよろしくなかったのか、Wang Miao(汪淼)とShi Qiang(史強)の出会いのシーンから始まり、文化大革命のシーンは後ろに移動されています。
また、翻訳についてWikipediaの記載をここに紹介します。
著者の劉慈欣は「中国文学が外国語に翻訳されると何かが失われやすいものですが、『三体』では、むしろ得ていると思います」とし、中国のSFファンに向けて、英語が理解できるのであれば英語版を読むよう勧めている。
これらのことから、中国語版、英語版、日本語版の3択においては、英語版が最もおすすめと言えると思います。
当ブログは英語系ブログなので英語版を推す理由を前面に出してみましたが、三体は本当に面白いので日本語版でも十分に楽しめます。あまり言語にこだわらず、物語の内容を楽しんでいただければと思います。
三体シリーズのまとめ(SFを超えて神話に分類したい)
ここまで読んでいただきありがとうございます。三体シリーズが面白すぎて、こんなに長く語ってしまいました。この長さを熱量と思っていただき、三体シリーズの魅力を共有できていたらうれしいです。
最後に、冒頭に書いた「個人的にはSFの枠を超えて神話に分類したい」を回収して終わりにしたいと思います。
第3部『死神永生』の最後の方で、太陽系の滅亡が迫る中、地球のことを記録に残すため、紙や電子より耐用年数が長い、石に刻もうとなるのですが、中国文学最高の小説『紅楼夢(中国の神話、女媧補天で始まり、石に刻まれているという設定の物語)』と私の中で勝手に繋がり、三体がSFを超えた神話に思えて鳥肌ものでした。
紅楼夢は中国の女媧補天の伝説で始まります。神々の戦いで空が裂けてしまったのを、女媧が36,501個の石で補天しようとして、1個余った石を捨てたら、その石が悲しんで、仙人にお願いして人間界に行かせてもらって、そこでの一部始終を自分(石)に刻んだ。その石を見た人間が書き写して広めたっていう設定の作品です。
三体シリーズが本国中国で「地球往事3部作(中国語で「往事」は過ぎ去った過去のこと)」とも呼ばれていることとあわせ、神話風にまとめるとこんな感じでしょうか?(笑)
いつのことかはわかりません、宇宙という広い場所で100億年の時が流れ、その中の塵of塵ほどの小さな場所で、一瞬of一瞬の間、地球という星ができ、人間という生命が生まれ、文明が勃興しやがて滅びました。別の宇宙に浮いていた石を拾ってみたら地球の一部始終が刻まれていて、読んでみたらおもしろかった。

■三体関連記事
第1部 三体 The Three-Body Problem
第2部 黒暗森林 The Dark Forest
第3部 死神永生 Death’s End
三体中国語版(シリーズ3作セット)
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