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最高に面白いSF小説!三体シリーズ英語版の感想など(英語の難易度,一部ネタバレ含む)【三体 黒暗森林 死神永生 洋書】
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この記事は上記の総括記事を補うための個別記事です。
三体シリーズはここ最近で一番はまった小説なのですが、ストーリーが壮大で、読んでいる途中で迷子になってしまうこともあったので、いったん情報を整理したくて、この記事を書きました。
三体シリーズの全体は上記の総括記事を、第1部『三体 The Three-Body Problem』の詳細は本記事をご覧ください。
これらの記事がこれから三体を読む人、読んだけどおさらいしたい人のお役に立てば幸いです。
この記事を書いた人
日本生まれ日本育ちの日本人。外資系歴10年以上、TOEICは対策なしで915(2019年)。英語学習や外資系での経験を、発信・共有しています(詳細プロフィールはこちら▶︎)。
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失敗しない英語学習法:基礎・独学・オンライン英会話・コーチング・アプリ x TOEIC
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三体 The Three-Body Problem のあらすじ
1967年、中国、時は文化大革命。葉文潔(Ye Wenjie)は父の葉哲泰(Ye Zhetai)が紅衛兵に公開処刑されるのを目撃する。父の罪は科学的態度を取り下げなかったこと。この事件が葉文潔(Ye Wenjie)と人類の運命を変えることになる。
40年後、奇妙なことにエリート科学者の自殺が相次いでいた。北京警察はナノテクエンジニアの汪淼(Wang Miao)に国際的科学者たちによる秘密結社、科学フロンティア(the Frontiers of Science)に潜入するよう依頼する。
汪淼(Wang Miao)は調査の過程で奇妙なオンラインVRゲーム、3body.netにはまる。このゲームでは太陽が3つあり、惑星の運命は3つの太陽との相互作用に依存する。
実はこのゲームは科学者達の自殺と関係があり、さらには地球外文明からの侵略、つまり地球存亡の危機とも関連していた。
VRゲーム 3body.netと三体問題とは?
- 3body.netは、太陽が3つある惑星で文明を存続させていくゲーム。VRスーツを着てプレイする。
- 三体問題とは、お互いの重力で作用しあう3つの物体の運動が複雑すぎて予測できないこと。3body.netにおいては、3つの太陽の運動が予想できないこと。
- 各太陽との距離がちょうど良い時は恒紀(Stable Era)で文明が繁栄できるが、太陽との距離が近すぎたり遠すぎたりすると乱紀(Chaotic Era)となり文明は崩壊する。
- 三体問題を解くことは乱紀(Chaotic Era)に備え、文明を存続させることになる。プレイヤーは三体問題を解くことができるのか?
- 結論:三体問題には解がない→目的変更→宇宙に進出し、新たに住める惑星を見つける必要がある。
VRゲーム 3body.netと清明上河図(Along the River During the Qingming Festival)の対比
- VRゲーム 3body.net:一見シンプルだけど、背後にとても深い何かを感じる。
- 清明上河図(Along the River During the Qingming Festival):表面的には複雑だけど、実際の情報量は少ない。現実世界もこのタイプ。

三体の登場人物
葉一家の登場人物
- 葉哲泰(Ye Zhetai):物理学者、精華大学の教授
- 紹琳(Shao Lin):物理学者、葉哲泰(Ye Zhetai)の妻
- 葉文潔(Ye Wenjie):天体物理学者、葉哲泰(Ye Zhetai)の娘、人類で初めて三体文明にメッセージを送る、地球三体協会(the Earth-Trisolaris Organization = ETO)のトップ
- 葉文雪(Ye Wenxue):葉文潔(Ye Wenjie)の妹、紅衛兵

紅岸基地(Red Coast Base)の登場人物
- 雷志成(Lei Zhicheng):紅岸基地(Red Coast Base)の政治委員
- 楊衛寧(Yang Weining):紅岸基地(Red Coast Base)の最高技術責任者、葉哲泰(Ye Zhetai)の学生、葉文潔(Ye Wenjie)と結婚
現在の登場人物
- 汪淼(Wang Miao):第1部のメインキャラクター、ナノマテリアル研究者、科学フロンティア(The Frontiers of Science)に潜入して秘密を探る
- 楊冬(Yang Dong):ひも理論研究者、葉文潔(Ye Wenjie)と楊衛寧(Yang Weining)の娘、自殺する、バッハが好き(巨大な建造物が築かれていくよう)
- 丁儀(Ding Yi):理論物理学者、楊冬(Yang Dong)の彼氏
- 史強(Shi Qiang):警察の探偵、ニックネームは大史(Da Shi、史兄貴的なニュアンス)
- 申玉菲(Shen Yufei):日本人物理学者、科学フロンティア(the Frontiers of Science)のメンバー、魏成(Wei Cheng)に三体問題(後述します)を解いてほしい、降臨派(the Adventists、後述します)を装っているが、本当は救済派(the Redemptionists、後述します)
- 魏成(Wei Cheng):数学の天才、申玉菲(Shen Yufei)の夫、三体問題をいいとこまで解く(100以上の安定的配置を発見するアルゴリズムを作る)
- 潘寒(Pan Han):生物学者、科学フロンティア(the Frontiers of Science)のメンバー、魏成(Wei Cheng)を殺そうと家に行くが、偶然出会った申玉菲(Shen Yufei)を殺してしまう、降臨派(the Adventists、後述します)側
- マイク・エヴァンス(Mike Evans):巨大石油会社の御曹司、降臨派(the Adventists)の首謀者、空母ジャッジメントデイ(Judgement Day = 審判の日)を作る
- スタントン大佐(Colonel Stanton):アメリカ海軍、古筝作戦(Operation Guzheng)の司令官

地球文明 vs 三体文明
三体文明とは?
三体文明の設定
- 三体星人(地球外知的生命体)による文明。三体星人が住んでいる場所はケンタウルス座アルファ星〔Alpha Centauri、地球から最も近い恒星(ガスでできていて自力で光を発する天体、太陽も恒星)〕。
- 三体問題のため、生活環境が過酷で、何度も勃興と滅亡を繰り返している。そのため、もっと住みやすい惑星があれば、そこに移住したい。
- 過酷な環境を生存するため、極端な独裁政治体制にならざるを得ない。文学、芸術、美しさ、喜び、愛がなく、生存を最優先する文明。
三体文明の登場人物
- the Princeps(Lord、主):三体星人の王。ナノテクノロジーを地球から滅ぼしたい。その理由は、この技術には重力を回避して宇宙エレベーターを作れる可能性があり、これが発展すると地球軍が巨大な防御構造を作れてしまうから。
- the Listener:三体文明の底辺で孤独に暮らし、人生に意味を見失っている。お金、地位、愛、希望、何も持っていないけれど、宇宙の彼方の美しい文明を救えれば、人生に意味があったと感じられる、というロジックで地球文明を救おうとする。
三体文明の智子プロジェクト(Project Sophon)
- 背景:三体星人が地球に到着する予定の4世紀後に、人類が大発展していては困る。地球の科学をこれ以上発展させたくない。科学者達の研究を妨害してしまおう。
- 概要:陽子を超知的コンピューターにすること。その方法は、9次元構造の陽子を2次元に展開すること。次元が高いと存在範囲が小さく、低いと大きくなる=遥か彼方の地球まで届く。三次元以上の時は、三次元世界にprojectionが映る。
- 智子(Sophon):智子1~4まで4体ある。1と2が地球に行き、3と4が三体文明に残り、相互にリアルタイム通信する。写真に数字や文字を映したり、目に宇宙マイクロ波背景放射の揺らぎを映したり、粒子の加速器の実験に干渉して実験結果を歪めることができる。

地球文明側の動き
科学フロンティア(the Frontiers of Science)
- 科学者、高学歴、富裕層などの知的エリート達から成る。
- この中から地球三体協会(EOT)に参加する人が出てくる。
地球三体協会(the Earth-Trisolaris Organization = ETO)
- 三体星人と内通している地球人の裏切り者達からなる協会。
- 人類の醜さに絶望していることが最大の動機。すべては葉文潔(Ye Wenjie)から始まっている。
- 大原則として、三体問題は解いてはいけない。なぜなら三体文明が地球に来る理由がなくなってしまうから。
- 下記3つの分派に分かれている。
降臨派(the Adventists)
葉文潔(Ye Wenjie)を中心とする原理主義。人類は自分達の問題を自力では解決できないので、三体文明の力を借りて新しく完璧な文明を作りたい。ETOの大部分はこちら。
救済派(the Redemptionists)
新しい分派。宗教的で三体文明のthe Princeps(Lord、主)を信仰している。多くは三体のVRゲームで三体文明を知った。降臨派 (the Adventists)ほど過激ではなく、究極の目標は主を救うこと。こちらから各国政府に三体文明のことが漏れている。両派は常に争っている。
生存派(the Survivors)
第三派。三体文明との戦争に生き残りたい。他の人類を裏切って自分たちだけ生存したい。

レーダー峰(Radar Peak)
レーダー峰(Radar Peak)は、中国の内モンゴルにある大興安嶺山脈(Great Khingan Mountains)内の山頂。ここに紅岸基地(Red Coast Base)がある。
紅岸基地(Red Coast Base)
宇宙マイクロ波背景放射(ビッグバン後の宇宙初期に発せられたマイクロ波、宇宙全体を均等に満たしている)を観測できる基地。
葉文潔(Ye Wenjie)は過去の研究成果が認められ、ここで働くことになり、宇宙マイクロ波背景放射の揺らぎ(Flickering)=地球外生命体が存在する証を観測する。

葉文潔(Ye Wenjie)は、太陽をスーパーアンテナとして利用しラジオ波を強めることで、紅岸基地(Red Coast Base)から宇宙にメッセージを送る。
ジャッジメントデイ(Judgement Day)
降臨派(the Adventists)の空母。第二の紅岸基地(Red Coast Base)で、三体文明とやりとりできる巨大アンテナを有する。三体文明とやりとりしたデータも保管している。
作戦司令センター/多国籍軍
- ETOに対抗するために各国から代表者が集まった、いわば地球防衛軍。
- 作戦司令センター所属の史強(Shi Qiang)は、ナノマテリアル研究者の汪淼(Wang Miao)に、科学フロンティア(the Frontiers of Science)へ潜入するように依頼する。
- 空母ジャッジメントデイ(Judgement Day)に保管されている三体文明とやりとりしたデータを奪取するため、パナマ運河を通過する空母ジャッジメントデイに古筝作戦(Operation Guzheng)を仕掛ける。
- 古筝作戦(Operation Guzheng)とは、髪の毛の1/100の細さのワイヤーをナノマテリアルで作り、運河に仕掛け、空母を切り刻んでしまおうというもの。
三体(The Three-Body Problem)の感想
一言で言うとめちゃくちゃ面白かったです。
感動やワクワクが止まらず、なぜ自分が三体をここまで面白いと思ったのか、整理するのが後回しになっていたので、この機会に改めて整理してみました。
第1部に関していうと、私は下記の3点が印象に残っています。
ミステリー要素が面白い
エリート科学者の連続自殺事件、謎のVRゲーム3body.net、秘密結社の科学フロンティアなど、これらの謎に汪淼(Wang Miao)と史強(Shi Qiang)が迫っていく過程がとても面白かったです。自殺、ゲーム、秘密結社、表面的にはシンプルに見えつつ、その裏に隠されていた真実を知ったときは、本当に驚き、楽しませてもらいました。
大胆な発想も面白い
三体は「宇宙人襲来もの」なので、それだけでスケールが大きくなるのですが、それ以外にも、智子プロジェクト(Project Sophon = 三体星人が陽子を9次元から2次元への展開したスーパーAI)や、古筝作戦(Operation Guzheng = ナノマテリアルワイヤーで空母を切り刻む)など、マジか!とぶっ飛びたくなるような、大胆な発想がとても面白かったです。
史強(Shi Qiang)が魅力的
ぶっきらぼうながら人間味があり憎めない史強(Shi Qiang)が良い味を出していて、とても良かったです。特に、地球文明より進んでいる三体文明に虫ケラ呼ばわりされ絶望してる汪淼(Wang Miao)と丁儀(Ding Yi)を励ますシーンはかっこよかったです。
地球文明と三体文明の間に、虫ケラと人間ほどの差はない。そもそも虫ケラは未だに人類に絶滅させられてない。虫ケラは負けない。

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