あなたは英語ネイティブサマサマ症候群にかかっていませんか?
英語ネイティブサマサマ症候群とは、下記のような疾患です。
代表的な症状
- 英語ネイティブ様は常に正しいと思っている。
- 英語を話す相手を想像するとき、英語ネイティブ様が思い浮かぶ。
- 自分が知っている英語表現は、相手も必ず知っていると思っている。
もしこれらに1つでも当てはまっている場合、英語ネイティブサマサマ症候群にかかっているので要注意です。
なぜなら、英語ネイティブサマサマ症候群を放置していると、世界で通用する真の英語力は身につかないからです。
この記事は、英語ネイティブサマサマ症候群への処方箋としてご用意しました。
具体的な数字や実体験にもとづいて説明していますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人
今年で外資系歴10年目、日本生まれ日本育ちの日本人です。TOEICは対策なしで915(2019年)。独学でここまできた経験を、日本人英語学習者のために共有しています(詳細プロフィールはこちら▶︎)。
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英語ネイティブサマサマ症候群の患者が知るべき5つの真実
英語話者の8割は英語非ネイティブ
世界の英語話者数
- 世界の英語話者は17.5億人 (Harvard Business Review (2012))
- 英語ネイティブは3.9億人 (The Statistics Portal (2018))
- 世界人口は76億人 (worldmeters (2018))
つまり
- 英語話者の8割は非ネイティブ (1 - 3.9/17.5 = 0.78)
- 英語ネイティブは全人口の5% (3.9/76 = 0.05)
- 世界の95%は非ネイティブ
上記のとおり、世界の英語話者の8割は英語非ネイティブ、世界人口の95%は英語非ネイティブです。
英語は世界最大の共通語なわけで、よく考えれば、とても自然な数字ですよね。
でも、日本で普通に生活していると、なかなかこのことを実感するのは難しいと思います。
正直に言うと、私も以前は英語ネイティブサマサマ症候群をわずらっていました。
しかし、当時勤めていた日本企業を辞め、世界一周の旅に出たことがきっかけで、私は英語ネイティブサマサマ症候群という疾患に気づくことができました。
世界の旅先で出会った人はみんな、自分の言葉で、なまった英語を、堂々と話していました。
発音はネイティブっぽくないのが丸わかりだし、文法もちょいちょい間違えていました。
でも、そんなことは、誰も気にしていなかったんです。
グローバル企業も9割が英語非ネイティブ
世界一周の旅から帰国した私は、外資系グローバル企業に転職し、今年で10年目になります。
世界50カ国にオフィスをもつグローバル企業の中も、英語ネイティブと非ネイティブの比率は、世界一周の旅とだいたい同じでした。
一緒に仕事をする人の9割は英語非ネイティブで、このグループが圧倒的大多数。
英語ネイティブは圧倒的少数派だったんです。
誰も彼も、ネイティブでさえも、みんな英語なまってる
私は今までに様々な国の人と英語で仕事をした経験があります。
その経験から断言できる事実として、世界の英語話者は、誰も彼も、ネイティブでさえも、英語がなまっているということです。
以下の具体例をご覧ください。
私の体験談
- 中国人、韓国人、香港人、台湾人、タイ人、フィリピン人、マレーシア人、シンガポール人、インド人、みんな英語なまってます。
- ドイツ人、フランス人、イタリア人、スペイン人、ブラジル人、ロシア人も、みんな英語なまってます。
- ある意味、アメリカ人、イギリス人、オーストラリア人、ニュージーランド人、アイルランド人も、みんな英語なまってます。
この事実を踏まえた上で、
ネイティブの英語を神のようにあがめ、へりくだる必要はあるのでしょうか?
日本人がジャパニーズイングリッシュなまりを気にする、恥ずかしがる必要って、何かあるのでしょうか?
少なくとも私には、他の英語非ネイティブのなまりはOKで、ジャパニーズイングリッシュだけがダメな理由が、全く見当たりません。
英語ネイティブもなまってる
アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語、アイルランド英語、それぞれ発音が異なることはよく知られています。
さらに言うと、例えば、イギリス英語の中にも、地方ごとになまりがあります(日本語にも北海道から沖縄まで、様々ななまりがありますよね)。
ここではイギリスのロックバンド、オアシスを例にしますが、
彼らの英語はなまり過ぎていて、TOEIC 900点越えの私でも、まったく聞き取れません(笑)
私はオアシスの大ファンなので、聞きとれるようになりたいんですけど、いかんせんなまりがキツすぎます。
具体的には下記の記事にまとめていますので、興味のある方は後でご覧になってみてください。
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オアシスの英語・発音が聞き取れない【マンチェスター訛りの特徴まとめ】
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英語ネイティブだってなまってるのに、非ネイティブの私たちがなまりを気にする必要はあるのでしょうか?
少なくとも私は、全く気になりません。
さらなる証拠として、ネイティブも非ネイティブも、誰も彼も、みんな、こんなに訛ってる!ということを、こちらの記事にまとめておきました。
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英語の発音/訛り(なまり)各国まとめ【ネイティブも非ネイティブもみんな訛ってる】
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「英語ネイティブにも通じる」は、実はレベルが低い
英語ネイティブこそ、一番楽な相手
よく「英語ネイティブにも通じる」みたいな言い方ありますけど、それって実は、一番レベルの低いことなんですよね。
なぜなら、英語ネイティブこそ、こちらの不完全な英語から、言いたいことをくみ取って、
「こういうこと?」みたいに言い換えて、コミュニケーションをサポートしてくれるからです。
相手が英語非ネイティブだと、ネイティブほどこれが期待できませんので、
どう考えてもネイティブ相手の方がコミュニケーションは簡単です。
最も大変なのは、英語非ネイティブとコミュニケーションすること
仮にこちらの英語が100%正しくても、相手の英語力が足りず、1回で伝わらないこともあります。
そんな時、どれだけ別の表現で伝えられるか、よりシンプルな単語の組み合わせで表現できるか、本当の英語力が試されます。
逆に、相手の英語力が足りず、何を言ってるかわからない時、こちらがうまく助け舟を出して、相手の言いたいことを、どれだけ引き出してあげられるか。
本当にインターナショナルな場では、こういう英語力が求められます。
「英語ネイティブがよく使う表現」は自分本位なエゴ
自分本位なセックスみたいで最低
私は「英語ネイティブがよく使う表現」みたいなものに対して、大きな疑問を感じています。
その理由は、下記の2点です。
- 目の前の相手は英語非ネイティブの可能性がとても高い(英語話者の8割、世界人口の9割以上は非ネイティブ)。
- 目の前の英語非ネイティブは、ネイティブ独特の表現を知らない可能性がとても高い。
「自分が知っていればそれでいい。」という発想は、あまりにも自分本位すぎませんか?
例えば、ネイティブ独特の表現として、以下を考えてみましょう。
ネイティブ独特の表現
- 例:Why don’t you ~?
- 意味:〜してみたらどうですか?
- 考え方:なぜ〜しないの?→〜した方がいいのでは?→〜してみてはどうですか?
非常にわかりにくいですよね。
あなたが「わかりにくい」とか「なるほど」と思ったのと同じように、世界の英語非ネイティブもそう思っています。
つまり、あなたが「なるほど!これがネイティブの表現か!」と思う表現であればあるほど、それは世界の大多数を占める英語非ネイティブにとってもわかりにくい表現だということです。
自分がそれを知っているからといって、相手の気持ちを考えず、自分本位な英語を使う。
自分本位なセックスみたいで最低だと思います。
「能ある鷹は爪を隠す」と言いますが、あなたがそれを知っていることは、あなたの中にだけ留めておけばいい。
相手に言われた時だけ、普通に対応すればいい。
何かを提案したいときは、わかりやすい「How about 〜?(〜はどうですか?)」を使えばいい。
こっちの方が、相手に対して、思いやりのある英語ですよね。
私はなにも、あなたが相手に配慮できない、自分本位な人間だと言っているわけではありません。
この問題の原因こそが、英語ネイティブサマサマ症候群、つまり、英語を話す相手を想像するとき、無意識のうちに英語ネイティブを想像してしまっていることにあると思うんです。
2020年の東京オリンピックで多くの外国人が日本に来ると思いますが、あなたが出会うかもしれない外国人は、英語非ネイティブである可能性がとても高いです。
英語を学ぶときは、世界の英語話者の8割は英語非ネイティブで、世界人口の95%も英語非ネイティブ、という数字を忘れないようにしてください。
ネイティブ独特の英語は、本当にインターナショナルな場では通用しない
ネイティブ独特の英語は、本当にインターナショナルな場では通用しません。
その実例として「The deck is still stacked against them.」という表現をみてみましょう。
(deckはトランプのカードの1セット、stackはインチキをする、という意味。私は知りませんでした。)
果たしてこの表現、世界の英語非ネイティブ(英語話者の8割かつ全人口の9割以上)に、どれだけ通じるでしょうか?
ネイティブしか知らない表現なんて、普通の英語非ネイティブは知りませんので、本当にインターナショナルな場では通用しません。
同じことを言うのにも、様々な言い方があるわけで、相手の気持ちに配慮しながら、相手に合わせた言葉選びができる人こそ、真にインターナショナルな経験を有する、真の地球人です。
大事なことなので繰り返しますが、あなたが「わかりにくい!」「なるほど!」と感じる表現であればあるほど、世界の英語非ネイティブも同じように感じています。
逆に考えてみてください。
どこかの非ネイティブに、自分本位なネイティブ英語を使われたら、どう思いますか?
自分がやられて嫌なことは、相手にもやらない。
人としての基本だと思います。
(TrinityNYCさんはニューヨーク在住なので、使う相手としてアメリカ人のネイティブを想定しているのだと思います。TrinityNYCさんを批判しているわけではありません。)
まとめ
英語ネイティブサマサマ症候群の患者が知るべき5つの真実
- 英語話者の8割は非ネイティブ
- グローバル企業も9割が英語非ネイティブ
- 英語ネイティブもなまってる
- 「英語ネイティブにも通じる」は、実はレベルが低い
- 「英語ネイティブがよく使う表現」は自分本位なエゴ
ここまで読んでいただけたということは、英語ネイティブサマサマ症候群に心当たりがあったということですよね?
この記事をきっかけに、あなたの英語ネイティブサマサマ症候群の症状が回復していたらうれしく思います。
- 「あなたの英語間違ってます。」
- 「My name is~ や (How are you?に) I'm fineなんて、ネイティブは言わない。」
- 「ネイティブがよく使う表現集!」
こういうのは、日本人の英語コンプレックスにつけこんだ商法なので、全部無視してください。
事実を言うと、「My name is~」や「I'm fine.」は、ネイティブも普通に言いますし、
ネイティブがよく使う表現で、あなたが「なるほど!それは知らなかった!」と思う表現であればあるほど、本当にインターナショナルな場では通用しないからです。
私たちは、相手の気持ちに配慮できる、思いやりのある英語話者を目指していきましょう。
この記事は以上です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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