外資K物語 第8話:AsiaPacificリージョンで働き、学び、今も大切にしていること

外資K物語 第8話:AsiaPacificリージョンで働き、学び、今も大切にしていること

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日本生まれ日本育ちの日本人。英語力をきっかけに外資系に転職し今年で外資系10年目、4社目。英語や転職をテーマにブログを書いています(詳細プロフィールはこちら▶︎)。

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みんな英語非ネイティブ

外資系企業へ転職してから4年目、私はAsiaPacificリージョンの部門へ移動を希望し、それが実現しました。

AsiaPacificリージョンとは?

グローバル企業は、主にGlobal, Regional, Localの3つのレベルで構成されています。

  • Global:文字どおり全世界レベルの大きな方針を打ち出すところで、いわゆる偉い人たちの集まり。
  • Regional:North America, South America, Europe, Middle-East, AsiaPacificなど、これくらいの規模感でのグループ分け。私がいたのはAsiaPacificで、中国、韓国、香港、台湾、タイ、マレーシア、シンガポール、ニュージーランド、オーストラリア、日本を担当していました。
  • Local:各国現地で現地特有のもっと細かい業務を担当します。

次の上司はオーストラリア在住のオーストラリア人で、英語ネイティブ。

でもそれは結果論であって、上司はAsiaPacificリージョンにいる人なら誰でもいいわけです。

実際、その前の上司は台湾在住の台湾人で、彼女は英語非ネイティブでした。


この部門のメンバーは中国、韓国、台湾、マレーシア、オーストラリアに散らばっていたので、オーストラリア人以外はみんな英語非ネイティブ。


そのため、みんなけっこう英語ヘタです 笑

でも、誰もそんなこと気にしていません。

英語はただのツール。伝えたいことが伝わればそれでいい。

うまく伝わらなかったら、言い直したり、確認し合えばいい。

細かい発音とか文法ミスとか、気にして縮こまるなんて、百害あって一利なし。


英語を話す相手は、ほとんどが英語非ネイティブ。


以前の私は、英語を話す相手としてネイティブを想定していたし、英語はネイティブに習うもの、英語はネイティブのように発音するもの、と思っていましたが、

それは、現実の世界からすれば、ピントが大きくずれていたのです。

英語ネイティブは少数派

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この記事で書いたように、世界の英語話者数は下記のとおりです。

世界の英語話者は17.5億人 (Harvard Business Review (2012))

英語ネイティブは3.9億人 (The Statistics Portal (2018))

世界人口は76億人 (worldmeters (2018))

つまり

英語話者の8割は非ネイティブ (1 - 3.9/17.5 = 0.78)

英語ネイティブは全人口の5% (3.9/76 = 0.05)

世界の95%は非ネイティブ


世界の共通語だからこそ、英語非ネイティブがマジョリティー、英語ネイティブがマイノリティーなわけですね。

したがって、英語を勉強するときは、英語非ネイティブの人にどう伝えるか、という視点を持っておくことが、好むと好まざるとに関わらず、現実的に必要になってきます。

ネイティブっぽいフレーズや言い回しを、自分が知っていればそれでいい、ネイティブに通じればそれでいい、という姿勢は、相手への配慮に欠ける。

そのネイティブ表現は、非ネイティブには通じない可能性が高い。

多国籍チームの中でそれをやったら、空気の読めないイタい奴になってしまいます。


極端な例をあげると、

  • a piece of cake (ケーキの一切れ=朝飯前=簡単)
  • easy (簡単)

この二択において、前者を使う意味って、何かありますか?

自分はネイティブの英語を知っている、それを相手み見せつけたい、という自分本位なエゴではないでしょうか?

仮に、前者の表現が、目の前の非ネイティブ(仮に中国人としましょう)に通じたとして、それはあくまでも結果論。

どちらが通じる可能性が高いかを考えるなら、後者の優位性は揺るがないでしょう。

グローバル企業の非ネイティブ混成チームでは、このような考え方=相手への配慮が重要になってきます。

AsiaPacificリージョンで学んだこと

知らないことには終わりがない。じゃあ、どうすればいいのか?

これは、私がAsiaPacificリージョンで学んだことで、人生の指針として、今も大切にしていることです。

以下に、2つの例で紹介したいと思います。

冷蔵庫にあるもので、どう料理するか

私たち非ネイティブにとって、知らない英単語/フレーズには終わりがありません。

日本語でもそうなのですから、英語ならなおさらです。

また、自分の英語力も、相手(非ネイティブ)の英語力も、すぐには上がりません。


このような状況で、現実的な課題となるのは、「今の英語力で、その場にどう対応するか」です。

具体的には、自分も相手も理解できる、中学生レベルの英単語と文法で、自分の言いたいことを、わかりやすく、相手に伝えること。

一言でいうなら「対応力」。

本当に重要なのはこれなんです。


知らない単語/フレーズ、ネイティブの言い回しを、1つ1つ覚えていくことが悪だとは言いません。

でも、その道を進む前に、

  1. その道には終わりがないこと
  2. せっかく覚えても/使っても、世界の英語話者の80%を占める英語非ネイティブに通じる保証はどこにもないこと

この2点は、一度立ち止まって考えてみる必要があると思います。

「知らないからできない」だと何もできない

AsiaPacificリージョンで中国、韓国、香港、台湾、タイ、マレーシア、シンガポール、ニュージーランド、オーストラリアを担当していると、日本だけでなく、各国の規制要件に対する理解が必要になります。

※私は製薬業界で医薬品の開発に携わっています。

しかし、各国の規制要件は常に少しずつ変化しますので、1人の人間が全てをタイムリーに理解し続けるのは不可能です。

私の上司ですら理解していませんし、理解しようともしていませんでした。

そこは、労力を注ぐべきところではないんです。


では、何が大切なのか?


原則にもとづき、自分の頭で、論理的に考えること。

知らないことは自分で調べたり、知っている人に聞くこと。


私がAsiaPacificリージョンで学んだのは、知識ではなく、知らないこととの向き合い方でした。


知らないからできないだと、そこで話が終わっちゃう。

そういう人は AsiaPacific チームには要らない。

このチームでは、知らないことが怖くなくなる、無敵のメンタルを学ばせてもらいました。

仕事だけでなく人生全体に活かせる、貴重な経験をさせてもらえて、当時の上司や先輩には感謝しかありません。


本記事は以上です。続きはこちらです。

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2社とも、日本で言うならリクルート・エージェントとデューダの2大巨頭、PCのOSならアップルのMacとマイクソソフトのWindowsみたいなもの。求人の質と量からコンサルタントのサポート力まで、とりあえず登録マストと言って間違いない、鉄板の転職エージェントです。





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Sushi GPT

日系企業を3年未満で退職し、外資系10年以上(4社目)。現職はメディカルライターとして、新薬の開発/承認申請に関する文書を書いています。日本で生まれ、日本で育ち、日本で英語を勉強しました(TOEICは対策なしのぶっつけで915@2019年)。帰国子女でも留学経験者でもない、普通の日本人だからこそ伝えられることを、英語、転職を中心に発信していきます。詳細プロフィールはこちら

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